流薔園

「物事を遠くへ押しやる時、一切はロマン的になる」(シュレーゲル)

映画『ローザ・ルクセンブルク』短評

友人に誘われ、久方ぶりに映画鑑賞をした。演目はマルガレーテ・フォン・トロッタ監督の『ローザ・ルクセンブルク』。19世紀末から第一次大戦にかけて活動した女性革命家のローザ・ルクセンブルクの伝記映画である。社会主義運動の草創期や敗戦と革命に揺れ…

ジュリア・クリステヴァ『恐怖の権力―〈アブジェクシオン〉試論』

「構造」の概念が世界の知的状況を沸騰させていたなか、静態的な構造主義的テクスト理論に対し意味生成の動性を提示しテクスト理論・記号論に新境地を開き、現在も思想シーンの熱源であり続けている思想家ジュリア・クリステヴァ。今回取り上げる『恐怖の権…

ジョルジュ・バタイユ『呪われた部分―普遍経済学の試み』

「至高性」や「エロティシズム」、「蕩尽」を根源的な主題として、近代の主知主義・生産を基底とする世界像を批判、政治学・経済学・人類学・宗教・文学・哲学・芸術などの多岐に渡る領域で執筆活動を展開し、独自の思想世界を構築したジョルジュ・バタイユ…

モーリス・ブランショ『明かしえぬ共同体』

モーリス・ブランショは『来るべき書物』や『文学空間』において、日常からの欠落/死の空間として文学が展開する空間を定義し、日常的生から乖離した本質を蔵した「文学空間」への沈潜を試みた。ブランショの「文学」とは我々を日常空間での流離・埋没から…

ルネ・ジラール『暴力と聖なるもの』

冷戦構造の内破、テロリズムの拡散、憎悪の連鎖。国家・地域間の障壁が急速に失効し、市場・情報・カルチャーを中心としてグローバル化が加速する現代社会においては、技術革新と空間構造の変質によって「戦闘概念自体の融解」と「暴力の世界化」が発生する…

ギー・ドゥボール『スペクタクルの社会―情報資本主義批判』

状況主義を掲げ、状況派(シチュアシオニスト・インタナショナル)を率い芸術・文化・社会・政治への統一的批判を行なったギー・ドゥボールの理論的主著。大量消費社会の到来によりすべてが「商品」を基調とする価値システムに支配されるようになり、マスメ…

お知らせ

http://kokusaku.exblog.jp/ 私が籍を置いているサークルが今年の12月13日に講演会を開催することになりましたので、一応私のブログでも紹介したいと思います。今回招くことになったのは高崎経済大学の八木秀次教授ですが、講演会の説明にあるような教育問題…

古書目録

BOOKOFFで何冊か古本を購入。 『教育思想【上】発生とその展開』(村井実著 東洋館出版社) 『教育思想【下】近代からの歩み』(村井実著 東洋館出版社) 『経済思想の源流』(金子光男編著 八千代出版) 『ヨーロッパ社会思想史』(山脇直司著 東京大学出版…

それぞれの日和に

語りとは、受け手を想定して初めて成り立ちうるものであると言う。ならば、私がこうして手慰みに始めようとしているこの私的な記録は果たして語りでありえるかどうかは知れたものではないと思う。恐らくそれは偶然に任せるしかないのではないか、たとえ自己…